テレワークをビジネスの成長エンジンにするには?コロナ騒動をビジネス変革のきっかけにしよう

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テレワーク/リモートワークは、新型コロナ騒動で注目されるようになりました。

弊社では、もう10年以上テレワークを実施しています。私自身もともとは自分のマンションで起業しました。そして、従業員や協力スタッフも20名以上いますが、全員テレワークです。一応、事務所は存在しますが、机代わりの卓球台が一台と本棚と書類などがある程度の小さなオフィスです。なので、全員が集まることはありません。

今回の新型コロナ騒動で「どうすればスムーズにテレワークを導入できるの?」という方の相談が絶えません。
そこで、今回は、「テレワーク、どうやって始めるの?」という方向けに、テレワーク導入のときに押さえておきたい5つのポイントについて解説します。

ただし、新型コロナのリスクを回避するためにテレワークを導入するというのはもったいない。実は、テレワークを導入することであなたの会社を筋肉質に変えることができます。

つまり、テレワークはあなたの会社の成長エンジンになりうる、ということです。
その観点を含めてお伝えしていきます。

 

目次

テレワークとは

そもそもですが…「テレワークとは何か」ということから理解しましょう。

テレワークの定義はカンタンで、
「普段オフィスで行っている業務を、オフィス以外の場所で行うこと」
と私は定義しています。

通常、自宅、もしくはカフェでやることを想定しています。コワーキングスペースを借りている方もいらっしゃるでしょう。

ただ、今回はあくまで、コロナウイルスの影響で出勤できない、スタッフに出勤させたくない、という経営者の方が多いはずです。なので、普段オフィスでやっている仕事を別の場所で仕事をする、という程度がいいかと思います。

ちなみに、テレワークとリモートワークは基本同じことを言っていると思っていただいて構いません。

 

テレワークできる業種、できない業種

「テレワークができない業種はありますか?」という質問をいただきます。
結論からいうと、どんな「ビジネス」であれテレワーク化は可能です。

ただし、全ての「業務」がテレワーク化できるわけではありません。シンプルな例ですと、飲食店が料理を提供する、というのは当然、不可能ですよね。

けれど、飲食店の業務の中でも、
・レシピを考える
・販促プランをつくる
など食事を提供するということ以外に関しては、店以外でもやれるはずです。

つまり、全てのビジネスでテレワーク化はできますが、全ての業務でテレワーク化できるわけではない、ということです。

ただし、テレワーク化できる業務は多くの方が思っているよりも多いです。

例えば、セールスです。弊社の場合、起業当初からコンサルティングの8割以上はスカイプ(ビデオ通話ソフト)で契約を決めていただいています。また、弊社のクライアントでももともとは対面でセールスしていたのを、電話やビデオ電話でのセールスに変更した会社もあります。

ちなみに、一般的には対面でないと契約が決まらなさそうなリフォーム業、などでもリモートで契約を決めることをやっています。この場合は、職人が現地に行って写真などを撮影し、どのような変更をすればいかプランを作ります。そして、最後の提案などはセールス専門スタッフが実行する、というやり方です。職人さんがセールスしたがらないというのを逆手にとってセールスの分業をしたわけです。

こんなふうに業務を分解していくことで、テレワーク化することは可能です。なお、電話、ビデオ通話でのセールスは対面セールスと少し勝手が違う部分があります。ただ、これについては長くなりますのでここでは割愛します。(興味のある方は、この記事の最後のQRコードからLineオープンチャット「テレワーク研究会」に参加ください。セールスのコツについてお伝えする場もご案内しています。)

 

テレワークのメリットとは?

では、テレワークにはどんなメリットがあるのでしょうか?移動も人との直接の交流もないので感染症対策になる、というのが現状では一番にあげられるでしょう。ただ、それは今だけの話で…もう少し持続的なメリットを3つお伝えしたいと思います。

 

check 経費を抑えられる

まずひとつ目は経費を抑えられる、ということです。その中でも、特に大きいのが家賃でしょう。

前述した通り、弊社にも事務所は存在しますが、机代わりの卓球台が一台と本棚と書類などがある程度の小さなオフィスです。20人くらいの協力スタッフがいますが、全員がテレワークで集まることはありません。なので、これで事足ります。

オフィスの場所は大阪の肥後橋。東京でいうと丸の内までは言わないですが、そこそこのオフィス街です。なので、一般的に家賃は高いです。
しかし、弊社オフィスは築50〜60年のビルをリノベーションしていて、かつ狭い。なので、家賃が7万円くらいです。オフィス街のど真ん中でこの金額なビックリですよね。

家賃に限らず人が集まるとお金がかかります。パソコンを購入しないといけない、給与の他に通勤の交通費を支払わないといけない、コピー用紙もやたらとつかうし、電気代もかかる…細かいですが、積み重なるとなかなかの固定費です。テレワークを導入することで、これら経費が大幅に削減されます。

当然、その分キャッシュが残りやすくなります。

 

check 優秀な人が求人しやすくなる

テレワークというと今、働いている人の利便性に目が向きがちですが、その利便性は外から見ればとても羨ましいわけです。つまり、求人にも役に立ちます。

弊社は社員を含めて出勤の義務が一切ありません。ごく1,2名だけ月1,2回きてもらうことはありますが…まだ一度もオフィスに来たことがない協力スタッフもたくさんいます。

そして、基本的には勤務時間や仕事をする場所にも縛りがありません。何となく「何してるの?」って聞いてみたら「いま、トルコです…」なんてことも(笑)。一部の女性スタッフはあまりに自由に働いているので友人から「社長の愛人なの?」って言われたこともあるそうです。テレワークという考え方がこれだけ広がった今となっては笑い話になりますが、一般企業の人から考えればあり得ない働き方なわけです。

結果、会社としての魅力があがる、というわけ。

ちなみに、ぜひあなたに注目していただきたいのはお子さんをお持ちの主婦の方です。お子さんができて休職に入っている方、会社をやめている方は多いです。そして、家計の足しにしたい、社会とつながる感じが欲しい、などの動機で少しでいいから働きたいという希望を持っています。

けれど、子供を預けられる保育園・幼稚園がないと悩んでいたり、子供との時間はめいっぱい取りたいとおもっていたりするわけです。そんなとき、いつでもどこでも働けるテレワークのある会社は魅力的に見えます。実際、弊社の協力スタッフには主婦の方が多くて、お子さんが昼寝している間だとか、夜みんなが寝静まってから仕事をしている、という方も多いです。

しかも、こういった女性は学歴も高くて、もともとは大企業に勤めていて能力が高い、という人がかなり多いんです。たぶん、彼女たちが新卒のときであれば、我々のような中小零細企業なんて見向きもしてくれなかったはずです。それが、テレワークを導入することでそんな人たちに働いてもらえるわけです。大企業で十分なOJTを受けてくれたうえですから教育も済んでいます。

 

check ビジネスの成長エンジンになる

そして、最も重要なのがテレワークはビジネスの成長エンジンになる、ということです。
テレワークの仕組みを作っていくことで、あなたの会社は筋肉質で強い会社になっていきます。
このメリットについてはこれ以降を読み進めていただければ、ご理解いただけるはずです。

 

テレワークを始めるときにおさえたい5つのポイント

いよいよ本題。
テレワークを始めるときに押さえるべきポイントがあります。
大きく分けて5つあります。

 

ポイント1. テレワーク導入に必須のツール

テレワーク導入の際、一番多い質問が「どんなツールを用意すればいいのでしょうか」というもの。

テレワークに使えるツールはたくさんあります。しかし、変わったものを導入する必要はなく、以下にあげた一般的なもので構いません。

 

check 非同期コミュニケーションツール:Gmail

まず、非同期コミュニケーションツールについて。非同期コミュニケーションとは、相手がすぐに応答する必要のないウェブ上のコミュニケーションのことを指します。一方で、対面での会話は電話のように即座に反応する必要があるものが同期コミュニケーションです。もちろん、テレワークで重要なのは非同期コミュニケーション、その中でもメールがもっとも基本です。

弊社はGmailを推奨しています。Gmailは、ご存知のgoogleが提供するメールサービス。もちろんエンタープライズアカウント(法人アカウント)を取得することもできますが、当初はその必要はありません。通常のGmailアカウントであっても普段使っているメールアドレスで送受信が可能です。

私のGmailアカウントでも、私が代表を務めるひみつきちJ株式会社のドメイン(@himitukiti.co.jp)だけでなく、グループ会社であるトリムタブマーケティングのドメイン(@trimtabmarketing.jp)のメールが見れるようにしています。

ちなみに、個々人のメールアドレスもあってそれもGmailで見られるようにしてもらっています。会社への問合せなどについては、専用のGmailアカウントを作り、グループ会社の問い合わせメールアドレスを紐付けてあります。

サポート担当者のGmailアカウントに会社の問い合わせアドレスを紐つけてしまうと、この担当者が急に休んだ時などに対応ができなくなるからです。

ちなみに、非同期コミュニケーションツールとしてChatwork(チャットワーク)、とか、Slack(スラック)が最近よく使われます。
個人的にはこれらのツールは推奨しません。これらは気軽にコミュニケーションができるように設計されているからです。ビジネスPCで使うLINE(ライン)のようなイメージでしょうか。

気軽にコミュニケーションができるということは、業務と関係ないジャンクコミュニケーションが増えるということです。それはメンバーの集中力を奪うことになります。

またChatworkの場合、複数の依頼を受けると、どの依頼が実行済みで、どれが実行済みでないかがかなりわかりにくいです。タスクリストを作れる機能もありますが、タスクリストはひとまとめにしてあるから意味があるわけで。独自で管理するタスクリストに、Chatwork上のタスクリストまで増えると管理の手間がかかるばかりです。

一方、Gmailを使うと、処理していない案件がメールとして残ります。依頼した案件に対して返信するようにすると、案件ごとにスレッドでやり取りの履歴が残る訳ですね。そうすると、「○○に関する案件」という検索をすれば、メールを見て依頼側が確認できる。依頼された側も、「自分がどんな案件を抱えているんだろう?」とメール一覧を見れば、自分の抱えている案件のタイトルで進捗管理ができる。
もちろん1案件1メールというルールを決めておく必要はありますが。

ChatworkやSlackはそれができないので、あまり使いたくありません。ただ、一部外部業者で使うことを義務化しているところもあるので、仕方なく使っています。

 

check ビデオ通話:Zoom

ビデオ通話についてはZoom(ズーム)を使用します。メールなどで事前にいつ通話するのかを決めておきましょう。
この時のポイントは何時に終わるかも伝えること。多くの人は開始時間は伝えますが、終了時間を伝えません。終了時間を伝えることで、効率的に打ち合わせが終わるとともに、互いにスケジューリングがしやすくなります。

 

check オンラインストレージ:Googleドライブ・ドロップボックス・エバーノート

社内データを保存するのにGoogleドライブ、Dropbox(ドロップボックス)、Evernote(エバーノート)などのオンラインストレージを使用します。
ひとつに決めてそれだけを使うのが最も経費が安く済みます。そのときは個人的にはDropboxがいいと思いますが、好みでいいでしょう。

ちなみに、弊社の場合は、3つ使い分けていて、書類、メール、文章はEvernote。それ以外のものはDropbox。そして、データのバックアップにGoogleドライブという使い分けをしています。
つまり、日常で動いているのはEvernoteとDropboxということです。

 

check 急ぎの連絡はLINEで

そして、プラスアルファのツールとして、LINEがあります。LINEは基本的に個人的なやり取りのツールですから、ビジネス上の使用については賛否両論あります。が、弊社ではLINEも使用しています。

テレワークのメインになるのは、非同期コミュニケーションであるメールです。メールを相手が見てくれないことには仕事が進みません。基本的にメールはそのような性質なので全く問題ありませんが…急ぎで確認して欲しい案件が出てくることも。

そのようなときにはLINEを使って「メールを確認してほしい」と連絡をするわけです。ただし、前述した通りLINEは個人間のやりとりのツールです。なので、「個人のものを業務に使わせていただいている」という感覚はとても大事で、LINEについては送付していいルールを厳格に決めましょう。
例えば、弊社の場合、社員に対しては9時から18時しか送ってはいけないことがルール化されています。

テレワークはいつでもどこでも働けることがメリットですが、一方でこのLINEの話に象徴されるようにパーソナルゾーンを犯してしまう可能性があるというデメリットもありますその意味で、テレワークを導入する際、社長のモラルと運用ルールは非常に重要です。

 

check ネットバンク

入金確認、請求の支払いなどもせっかくですからテレワーク対応しましょう。
そのためにネット専業の銀行の口座を最低1つは作ることです。

もちろん最近は都市銀行でもインターネット対応をしています。しかし、別料金がかかったり、機能面で使いづらかったりします。

特にネットバンクにあって、多くの都市銀行にないのが権限別のログイン設定です。つまり、ログインする人によって異なる権限を設定できる機能です。

たとえば、スタッフの権限でログインすると「いつ、どの会社に、いくら振り込むのか」支払い指定を設定できます。しかし、その支払いの実行そのものは決裁権者が決裁しないとできません。
このようにしておけば、社員が架空の請求書を作ってお金を盗むことを防ぐことができます。

 

ポイント2. セキュリティ対策

次はセキュリティ対策についてです。リモートで仕事をすると情報漏洩が不安、という話をよく聞きます。これについても対策は当然あります。

まずセキュリティソフトは必須です。必ずスタッフのPCに入れさせてください。
これは大前提、基本です。

その上でセキュリティについての社内ルールを設定しましょう。弊社の社内ルールを3つあげます。

 

check 公共のWi-fiではなく、安全なWi-fiだけ使う

外部のWi-fiにつながないルールにします。よく旅行に行くと、〇〇Wi-fiというのを見かけるでしょう。これら公共のWi-fiには接続しないというルールにしてください。

なぜなら、公共のWi-fiは初めから悪意のある設定をされていたり、外部から簡単に侵入しやすい可能性があるからです。なので、外出先ではスマホのテザリング機能を使用するように義務化しています。

テザリングとは、スマホの回線を使用してパソコンでインターネットに接続することです。スマホにテザリング機能をつける場合、追加料金が必要なので、このテザリング費用だけを会社から補助すれば、スタッフの負担にもなりません。

 

check データは権限別に

オンラインストレージなどで見られるデータは、権限に応じて分けましょう。つまり、全てのデータを全てのスタッフが見られるようになっているのはダメだということです。
例えば、ブログの記事を書くスタッフがあなたの会社の決算データを見るこができるとしたら? それはイヤですよね。同様に全てのデータを見るべき人だけが見られるようにすることが必要です。

特にプライバシーに関わる「お客さんのデータ」は厳密に管理すべきです。実際、弊社の場合、「お客さんのデータ」を見ることができるのは私を含めて3名のみ。そして、この3名については、セキュリティについてのデータも他のメンバーと比べてかなり厳しいルールを運用しています。

 

check 口座を分ける

ネットバンクで権限別設定をすることでお金を盗めなくする、というのは前述した通り。
弊社の場合、それだけでなく運転資金以外のお金は別口座に入れるようにしています。
この口座については社長である私だけが暗証番号を知っている、キャッシュカードも私が保管しています。

税金や従業員の源泉の支払いのプール金にもなりますし、万が一、社員が会社のお金を狙うような事態が起こったときにも、最小限で食い止められるようになっている訳です。

 

check パソコンは支給するのか?

パソコンはスタッフに支給するのか?という質問をよくいただきます。

例えば業務委託だと仕事専用のパソコンをご自身で持っている方が多いのですが、弊社は社員に関してはパソコン丸ごと支給です。なぜなら、顧客情報や大切なファイルをその方以外の家族の方が触ったりするリスクがあるからです。

ただ、費用面で厳しいという会社も多いはず。その時には、顧客情報を扱う人だけ支給して、それ以外は手持ちのパソコンでOKとする(費用は一部負担)、という方法でもいいでしょう。

 

ポイント3. スタッフの仕事管理

テレワークにすると監視が行き届かないからスタッフがサボるのではないか?という心配をされる社長が多いです。それに加えて、一人でやっているということもあって、スタッフや社長自身のパフォーマンスやモチベーションをどう管理するか、一人で籠もって仕事をすることでメンタルがやられるのでは?という心配をされる方もいます。

 

check あえてビデオでつないで朝礼をする

まず効果的なのがビデオをつないで朝礼すること。そもそもビデオを繋ぐのは面倒、という反論が返ってくるはずです。確かに、女性であればメイクも必要ですし、男性でもヘアスタイルを整え服は着替える必要がありますから。

しかし、その面倒なことをすることに意義があります。新型コロナ騒動でロックダウンされた海外の都市では鬱(うつ)になる人が増加しました。そうならないために精神科医が伝えたのが「毎日メイクしましょう」でした。たったこれだけのことですが、生活にハリをつくります。面倒ですが、綺麗な格好に着替えることで仕事モードに入るという儀式の効果もあります。

もちろんスーツに着替えさせるのはナンセンス。けれど、少なくともパジャマを脱いで身だしなみを整えましょう。ちょっとしたことが1日のパフォーマンスに大きな影響を与えます。

 

check 結果だけ見るようにする

仕事の管理には重要なマインドセットがあります。何かというと「結果だけを見る」。
つまり、出てきたアウトプットだけを見る、ということです。

社長がスタッフの仕事ぶりを見てイライラするのは大抵「そのやりかたが違う!」と思っているからです。自分の思っているやりかたと違うやりかたをしているからイライラする。
だから、プロセスを見ない。一切見ません。
できあがったものを見て、満足いく品質の成果物かだけをチェックします。

もし、出てきた成果物が間違っている、うまくいっていない場合、そこではじめてプロセスをチェックします。どのプロセスが間違っているかを確認するわけです。具体的には、どういうプロセスで仕事をしているか書き出させます。多くの場合、このプロセスが間違っているか、プロセスを飛ばしています。なので、ここでチェックシートを作ってこの通り仕事をさせます。

チェックシート通り仕事をさせて、うまくいけばこのチェックシートはOK。しかし、うまくいかないならこのチェックシート を叩き台に改善したチェクシートを作って、また試す…これを繰り返すわけです。

本来、あらゆる業務においてチェックシートを作るべき、というのが私の主張です。しかし、早い段階でテレワークを実現したいなら、全てを前もってチェックシート化することはできません。

なので、まずテレワークにしてしまい、うまくいかないものからチェックシート化してしまいます。

「このときスタッフが嘘をついたら?」
こう言われる社長もいます。

しかし、嘘のプロセスを書いても全く問題ありません。そのスタッフにとっては、正しいと思ったプロセスを書いてきているということです。「じゃあ、このプロセスでやっているんですね」と言って、もう一度やってもらえば良い訳です。

それでうまくいかなかったとき、「ここのプロセス、書き換えてください」と訂正するだけです。逆に、自分で書くことで「あっ、そこが抜けてた」気づくこともあります。つまり、スタッフを責めるのが目的ではなく、正しいプロセスでやることが目的ですから、「嘘をついているかも…」と気にする必要はありません。

 

check 社員も、社長自身も、締め切りを共有する

スタッフは一人でいるとサボります。しかし、エラそうに言う社長だって多くの人はサボります(笑)人はサボるものなのです。

これは、締切を設定すれば解決します。

全ての業務についていつまでになるか締切を設定することをルールにします。この締切は他の人と共有します。こうすればいくら途中のプロセスでサボっても、締切までに業務を完了させますよね。ここでも「結果だけ見る」というマインドセットは有効です。締め切りさえ設定すればスタッフ・社員はやるべきことをやってくれます。

ここで問題は社長であるあなたです。部下に伝えた締切を守るタイプであればいいですが…部下に対しての場合、甘くなる人がいます。(もちろん「状況が刻一刻と変わるから優先順位が変わる」という主張はわかりますが、部下から見たらなんで自分は締切守らないの?って思われていますよ。)

もしあなたが部下に言った締切を破る傾向があるならば、コンサルタントやコーチなどをつけて、○○までにやりますと宣言する、外部の人に言う仕組みを作りましょう。ここまでやれば流石に締め切りまでにやるはず。

モチベーションを上げる必要なんてありません。ただ、やらざるを得ない状況に持っていくわけです。

 

check Zoomを活用する

監視状態がないと仕事をサボってしまう…
さらに、生活もダラけて気持ちも落ちてくる…
これはテレワークをしていれば誰もが陥ってしまいます。

そこで私がオススメするのがZoomでカメラをオンにして繋いだまま仕事をする、という方法です。

常時ではなく「10時〜12時だけ」と事前に時間を決めます。そして、参加メンバーは全員「今から●●の仕事をやります」と宣言してから、この時間内で仕事をする

たったこれだけのことですが、めちゃくちゃ仕事が捗ります。相互監視状態になっているので少なくともサボって立ち歩くことができない。

しかも、終了時間も決まっていて締切効果も働きます。実際、私もクライアントさんと週1回程度実施しているのですが、とても仕事が捗る大切な時間です。(『ドラゴンボール』から拝借して「精神と時の部屋」と呼んでいます。)

ちなみにオススメは2時間とること。そして、50分仕事したら10分休憩して、また50分仕事します。この10分休憩は立ち上がって参加メンバーと話しましょう。これだけでも気晴らしの効果があります。

 

check モチベーションは無視しよう

テレワークをする場合、スタッフ・社員のモチベーションをあげるにはどうすればいいか?ということを考えてしまいます。しかし、そもそもモチベーションは感情の問題ですからコントロールできません。(試しに嫌いな人を思い浮かべて「私はこの人のことが好きだ!」といくら言い聞かせても好きになれませんよね?)

ですから、モチベーションが下がることは問題ではないのです。モチベーションが下がることでパフォーマンスが下がる、結果が出ないことが問題なのです。

なので、モチベーションが上がらなくても結果が出ればOKとする。こう考えることがポイントです。

 

ポイント4. コミュニケーションエラーの解消

「お願いしたのとは全然違うアウトプットが出てきた、伝わっていなかった」というのはテレワークを導入し始めた方からよくいただく質問です。どのようにすればコミュニケーションエラーは起こらないのか、あるいは起きにくくなるのでしょうか。

結論から言うと、コミュニケーションエラーは起こります。人は、同じ場でのコミュニケーションとweb上でのコミュニケーションでは、伝わる情報量が違います。これは科学的にも実証されています。

ですから、情報量を増やそうというのは不可能です。しかし、仕事に関してはちゃんと滞りなくできるようにすることは可能です。

 

check 依頼するフォーマットを決める

滞りなく仕事ができるようになるために業務を依頼する際のフォーマットを決めます。
こうすることで必要な情報が漏れている、ということがなくなります。

基本的にメールで依頼するわけですが、具体的に入れるべきなのは以下の項目です。

・概要:メールのタイトル
・目的:何のためにやるのか?
・内容:具体的な内容
・目標:こういうものを納品してほしい、というゴールイメージ
・納期:いつまでにやるのか?
・報告タイミング:長期に渡る場合、「経過がこうなったら報告」「●曜日に報告」etc
・参考資料
・備考

依頼をして思ったものと違うものが出てくる場合、伝えるべきことを伝えられていません。特に社長さんの場合、「察しろよ!忙しいんだから!」というふうなコミュニケーションを取ってしまいがちです。(かく言う私も、です。)

つまり、思ったアウトプットが出てこないとき、90%以上は伝える側のミスです。本来伝えるべきことが伝えられていない場合が多い。

ですから、あらかじめ依頼のフォーマットを作っておき、それにしたがって依頼します。正直言って、かなり面倒です。しかし、やり直しを依頼するよりもよほど時間は短縮されます。

ちなみに、Gmailにはテンプレート機能があります。このテンプレートに上記項目を記載しておきます。

 

check コミュニケーションロスを記録しておいて、パターンを見出す

ここまでやっても間違ったアウトプットが出てくることはあります。その際はexcel(エクセル)に記録してください。誰それに、こういうメールをしたら、こういうエラーが出た、というふうに記録していきます。

そうすると間違いのパターンが見えてきます。最も多いのは上述した通り依頼方法が雑なこと。

そして、もう1つ多いのが同じスタッフが同じ間違いをしている場合です。記録をしていくと、スタッフのコミュニケーションのクセ、勝手に前提条件を自分で想像してしまう等、規則性が見えてくるようになります。

 

check インフォーマルなコミュニケーションをとる

長く一緒に仕事をしていると「あうんの呼吸」みたいなのがありますよね。これを生み出すのは業務ではなくインフォーマルなコミュニケーションです。「飲みニケーション」が否定されて久しいですが、やはり仕事とは違うコミュニケーションをとることがコミュニケーションロスを減らすのには有効です。

例えば、弊社の場合、岐阜県にも社員がいます。月決算の日だけは大阪の本社に出社させます。その日の夜にメンバーと一緒にご飯にいくことが定例となっています。

ただ、時間外に飲みに行くというのが難しい場合もあります。そんなときはランチがいいでしょう。ランチであれば勤務時間内に実施することができます。また、テレワークの場合、Zoomでつないで食べることもできます。テーマは特に決めません。仕事の話でも全く関係ない話でも構いません。最近、「Zoom飲み会」なんて言葉もありますが…飲みだすと終わり時間が見えません。短くても2時間はかかります。一方、ランチであれば、1時間くらいでおさまります。

 

ポイント5. テレワーク実現の最大のポイント:仕事の定義

テレワーク を実現するためのもっとも重要なのが「仕事の定義」です。

具体的には
1. どんな業務があるのか?
2. その業務の目的は?
3. その業務の目標は?
4. その業務プロセスは?
の4つを明確にすることです。

これを明確にすることでテレワークできる仕事とできない仕事を仕分けることができ、スタッフ・社員がスムーズにテレワーク できるようになります。

 

check 組織図をつくる

会社の中のすべての仕事を定義するためにまずやるべきことは組織図を作ることです。
あなたがたとえたったひとりでビジネスをしていても「もし大企業で経営するとしたらこういう組織図が構成されるだろう」というふうに考えてみて下さい。

例えば、弊社の場合は、コンテンツ事業部、コンサルティング事業部、マーケティング事業部、カスタマーサポート事業部、経営管理部があります。この事業部こそが「1.どんな業務があるのか?」にあたります。

マーケティング事業部を例にすると目的は、「お客さんと長期的な関係を構築する」。(
「2.その業務の目的は?」)

そして、続いての目標は目的を達成できるかを知るための数値ということになります。マーケティング事業部の場合、「LTV(顧客生涯価値。一人の顧客から得られる粗利の合計)」と「月間新規客獲得数」と「1顧客獲得単価」の3つを目標としています。(「 3.その業務の目標は?」)

そして、マーケティング事業部はどんな仕事をしているのか?Facebook広告、Google広告、メルマガ配信、プロモーション作成、セールスレターライティング…などがあげられます。これらが「4.その業務プロセスは?」にあたります。

 

check 社長の仕事はマーケティング!?その前に…

小さな会社の社長の仕事は、マーケティングだとよく言われます。社長の仕事は1にも2にもマーケティングだとよく耳にします。
例えば、ウェブマーケティングの場合、ブログライティング、YouTube、メールライティング、セールスレターライティング…これ、全部マーケティングです。では、これを全部やるのでしょうか? ムリですよね?

ですから、さらに分解します。例えば、YouTubeの場合…タイトル作成、台本作成、スライド作成、撮影、編集などの仕事に分けられます。編集を他の人にやってもらう社長は多いと思いますが…スライド作成だって「ラフ作成」と「パワーポイント化」という2つに分ければ、「パワーポイント化」は他の人でもできることがわかります。

このように業務を分解すると、「あっ、これは自分がしなくちゃいけないな」「これはしなくていいな」ということが分かってきます。また、人に仕事がお願いしやすくなります。

逆に言えば、テレワークがうまくいかない会社は業務の分解や定義ができていないということ。

だからこそ組織図にして書いてみる、ということです。ハッキリ言って面倒です。とはいえ、1,2時間あればそれなりの組織図は書けるはずです。その組織図ができたら、人を割り当てていきます。

そして
「誰がこの仕事をやっているのか?」
「自分がやっている仕事を誰か代わってもらえないか?」
と考えることができます。

さらに「ポイント2.セキュリティ対策」で話した、渡すファイルの権限を決めるのにも業務の分解が使えるわけです。

 

check まず業務を仕分ける、そして社長にしかできない仕事にフォーカスする

ちなみに。業務には2種類あります。
お金を生む「仕事」と、お金を生まない「作業」があります。
例えば、領収書をちゃんときれいに整理する、とか、セミナー会場を予約する。これはお金を生まない「作業」です。

そして、お金を生む「仕事」の中でも、社長にしかできない仕事と、社長でなくてもできる仕事というのがあるのです。例えば、マーケティングのコンセプトを作るというのは社長にしかできません。

組織図を見ながら「仕事」と「作業」を分類しましょう。
お金を生む「仕事」でも自分しかできない、他の人でもできる、というのを分類しましょう。

これができるのは組織図があるからこそです。本当に面倒です。しかし、絶対にやるべき「仕事」です。

 

コロナ騒動はチャンスである

社長さんの中には、「人が育たない」と悩んでいる方が多いです。「スタッフが思うように動いてくれない」と。実は、今回のコロナ騒動は、人を育てるチャンスです。

人を育てる最も簡単な方法は社長が2週間休むことです。社長が休むと、スタッフが自分で考えて行動しないといけなくなります。結果として、スタッフが育ちます。これは逆にいうと社長がそばにいる限りスタッフは成長しないということを意味します。

なぜなら「何か問題が起きたらまず社長に訊く」というクセがスタッフについているからです。「うちのスタッフは、自分の頭で考えないんだ」とよく言うのですが、それはそもそも社長が指示しまっていることが原因です。だからこそ、2週間の休みが大事。

ですが、「忙しくてそんなに休みなんか取れないよ」と思うかもしれません。実は、小さな会社の社長が忙しいのはあらゆることを自分でやるからです。小さな会社の社長は現場に出てナンボです。なので仕方ない部分はあります。しかし、組織図を作ることである程度「これはやらない」と決められるので、かなり時間が浮くはずです。

そして、実は意外と社長の時間を食っているもうひとつの原因があります。それが「どうしたらいいか?」というスタッフからの質問に答えることです。絶対的な時間としては、それほど長くはないでしょう。しかし、あなたが集中している時間を削がれてしまいます。そして、聞かれるたびに「これくらい考えろよ」と思ってしまうわけです。結果、本当に大切なことに全エネルギーを注げなくなります。ですから、2週間いなくなることで、スタッフが自分で決めないといけない状態にするわけです。

その意味では、今回の騒動はチャンスなのです。社長が2週間休むのと同じような状況を作れるからです。このテレワークはスタッフが自分で考えることを強制します。目の前に社長がいないですから確認したければ連絡しないといけない。けれど、すぐ返信はこない。だから、自分で考えるようになる。結果、スタッフが育ちます。

 

混乱して当然

どれだけ入念に準備してもテレワークをはじめた瞬間、かなり混乱します。「そんなこと想定しなかった…」ということがたくさん起こります。けれど、そこで「テレワーク はダメだ」と諦めてしまわないことです。幸い、現在はコロナで自粛を求められます。その意味でテレワークを途中で放棄することはできません。

なので、はじめから混乱は起こるものだと腹をくくってください。泳げるようになるには水に飛び込むしかありません。

とりあえずできそうなところからテレワークを始めていってください。ファイルの権限分けのことも説明しましたが、最初からファイル分けに時間をかけるのはやめましょう。とりあえず顧客のプライバシーに関わる部分以外は、バーンと任せてしまう、くらいの思い切ってください。

 

テレワークは単なるコロナ対策にあらず

「テレワークしましょう」というのは、単にコロナに対応しましょうということではありません。テレワークを通じて社長自身が本当に必要な仕事を明確にして、不要な仕事を捨てましょう。これができれば社長が本当にやるべき「仕事」に集中することになる。結果、業績もあがります。

テレワークに取り組むというのは、目先のコロナ対策に見えて、実は長期的な発展のためにも必要な行動だ、ということなんです。

ピンチをチャンスに変えるとはこういうことです。ぜひ、やれることから取り組んでみてください。

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